玖渚友の不在「クビシメロマンチスト/西尾維新」
関連するタグ: クビシメロマンチスト 西尾維新 ラノベ ライトノベル 小説 ミステリ 戯言西尾維新・戯言シリーズの第二弾。今回は主人公いーちゃんの通う大学が舞台。連続通り魔事件に震え上がる京都。その最中、主人公がコンパをした4人のクラスメイトが次々と絞め殺されていく。犯人は誰なのか。戯言使いが行き着いた結論は?
などと煽ってみたが、私的には普通程度の作品だった。第一弾クビキリサイクルで受けた衝撃はどこにいってしまったのか。返す返すも残念である。
やはり玖渚友の不在が響いたのだろうか。あの個性のかたまりの青色サヴァン。彼女の登場シーンが少ないのは悲しいものがある。
「おーっす! いーっちゃん! おひっさー! 今日も僕様ちゃんのこと愛してるー? どしたのどしたのどしたのどしたの? いーちゃんから電話してくるなんて珍しい! 今この瞬間こそ天然記念物! 姫路城! 敵本主義だね! ひゃっほう! 写真にとって記録しておきたいくらいだけど音が入らないから意味ないし! というわけで録音開始!」
「録音開始は良いけれど」
ぼくは努めて冷静に言う。
「友。最近暇してるか?」
「してないよん! 割と忙しめ。非常にビジィ。僕様ちゃんの処理能力、そろそろパンク寸前! 緊急メモリ増設! デフラグ必須! もうすぐフリーズします! あ、くる! くるくる! 現在進行形! 再起動よろしく!」
あいかわらず愉快なやつである。ここが友のほぼ唯一の見せ場である。
その代わりと言っては何だが、新たなる女性キャラが登場している。名前は葵井巫女子(アオイイ・ミミコ)。玖渚友よりは12段階ほどテンションが低いが、それでも実に個性的な女性である。
「でもでもでもっ! それでも話を聞かずに断るなんて、いっくん滅茶苦茶だよっ! 《中学二年生にしてバンド結成、ただしメンバー全員ベース》みたいなっ!」
なかなか素敵な比喩だった。
巫女子はいーちゃんに一目惚れしていて、いろいろと誘いを掛けてくる。この作品は「戯言シリーズで一番の人気作」らしい。それは恋愛的な要素があるから、と言われている。巫女子ちゃんはニブちんのいーちゃんにケナゲに近づこうと必死である。
とはいえなー。。。「ほとんど話したことすらない」「教室ではいつも無愛想」ないーちゃんに惚れたという設定に無理があるんだが。。。どう考えてもいーちゃんにもてる要素がないのだけど。
というのを言い出したら、殺害の動機なんて理解の範疇を越えているよな。。。古今東西、いろいろと動機は考えされているが、クビシメロマンチストの動機はいやいやそりゃねーよというすさまじいものである。最近のお子様はキレやすいと言われているが、いやいややっぱりそりゃねーよ。
前巻ではライト・ミステリと呼べる程度にはミステリしていたが、今回のネタはミステリとは呼びがたい。殺人を道具立てとした。。。何だろう? 青春小説とでも読んだ方がいいのだろうか。ミステリの色が薄いミステリ。実に表現が難しい。
今回、もうひとつのファクターとして通り魔事件がある。これがもったいない。通り魔の犯人は零崎人識(ゼロサキ・ヒトシキ)。彼を追い掛ける「人類最強の赤」に手傷を負わせた凄腕のナイフ使い。なぜか彼といーちゃんは魂の双子のようなものらしく、あっという間に親友になる。
零崎。通り魔。これらはキーワードとして作中でちょくちょく登場するのだが、メイン・ストーリーである大学生連続くびしめ事件とは何ら関係がない。ぶっちゃけ、零崎がいなくても「クビシメロマンチスト」の大勢にそれほど影響がない。そのあたりをうまく交差させてくれればと残念でならない。
おそらく、この作品はミステリとして見てはダメなのだろう。ではどのジャンル? と問われると答えが思いつかない。なかなかに不思議な作品である。
<<関連エントリ>>
クビキリサイクル(戯言1)

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