行商人ファンタジー「狼と香辛料/支倉凍砂」
関連するタグ: 狼と香辛料 支倉凍砂 ファンタジー ラノベ ライトノベル豊壌の神ホロと行商人ロレンスの二人旅を描いた商人冒険小説。2006年度「このラノベがすごい!」で1位を受賞したシリーズである。なるほど。商売をテーマとしたファンタジー小説は数が少ない。魅力的なテーマであろう。
数百年前の約束を守り、辺境の地で人々に豊作をもたらしていたホロ。最近は農耕技術への期待が高まり忘れられつつあった。そんな現状と孤独感にイラだったホロは、通りかかったロレンスの「麦」に乗り移って村を抜け出す。いきなり現れた狼の耳としっぽをもつ十代の全裸少女に唖然とするロレンス。
わっちはこの耳と尻尾を見てわかるとおり、それはそれは気高き狼よ。仲間も、森の動物も、村の人間もわっちには一目置いていた。ヨイツの賢狼と言えば、それは他ならぬわっちのことよ
前半は二人旅をすることになったロレンスとホロの問答が延々と展開される。まるで遊女のような「ありんす語」でのらりくらりとしゃべるホロ。それに翻弄されながらもたまには一矢報いるロレンス。その二人の会話の妙が面白い。
「ほう、良い林檎だな」
「じゃろ」
ホロはかぶっている外套の下から目を輝かせる。気がついているのかいないのか、腰巻きの中で尻尾が犬のようにわさわさと音を立てている。林檎が好きなのかもしれない。
「実にうまそうじゃな?」
「そうだな」
何をどう考えてもホロは遠回しに林檎をねだっているのだが、ロレンスはそんなことになど毛頭気づかないという振りをする。
「そうだ、林檎といえばな、知り合いが林檎の先物買いをしていてな」
今、言うべきはそんなことじゃないだろう? と言わんばかりの顔でホロはロレンスのことを見つめるが、ロレンスはそれにも気がつかない振りをする。
ホロはスナオに思っていることを言えないようだ。これをからかわない手はない。
「む……うむ。それは残念じゃったな」
「ただし危険も大きいからな。俺なら船舶に乗るな」
「……せ、船舶?」
ホロの気は焦るばかりのようだ。ホロは明らかに林檎をほしがっているが、それでも口に出してねだるのが嫌らしく、ロレンスの言葉にそわそわしながら返事をする。
「む、あ」
「どうした?」
林檎を山積みにした露店を通り越し、露店がだんだんと後方に下がっていく。
「それで、船舶の話だが」
「う……林檎……」
「ん?」
「林檎……食べ……たいん……じゃが……」
テライジワルwwww
先見性という点ではロレンスのはるか上をいくホロ。しかし、数百年も生きているためプライドが高く、そこをロレンスにやりこめられる。そこがホロの魅力のひとつ。強情なのだがそれに徹しきれない。そこがイイ味を出している。
物語が本格的に始まるのは中盤以降。とある新人行商人からウサンくさい金貨取引を持ち掛けられる。ロレンスはその背景にあるものを看破。なじみの商会に協力を依頼し、裏をかいて大金をつかもうとする。
しかし、相手の商会の警戒も厳しいものだった。真相を見抜いたロレンスとホロは宿で襲撃を受ける。ロレンスは命からがら逃げ延びるが、ホロは捕らえられてしまう。協力者の商会に助けを求めるが。。。
我々は儲け話のために必要な情報をすべて手に入れていますから、ロレンスさん達がどうなろうと関係がないのです
ロレンスはホロの助け出し、大金をつかむことができるのか。ホロの身柄をカードにしたロレンスの命がけの商談がはじまる。
評価としては★4に少し足りない感じなのだけど、物語が動く後半はなかなか楽しめるのと賢狼ホロのキャラ、経済活動を扱った点に今後の期待を込めて★4にした。

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