隣り合わせの灰と青春「All You Need Is Kill/桜坂洋」
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[評価:★★★★★]
「ジャパンの食堂ではグリーンティーが
無料だと本に書いてあったが、本当か?」
謎の生物ギタイとの戦いに明け暮れる人類。
硝煙と死の充満する戦場で、死に瀕した初年兵
キリヤ・ケイジは場違いな質問を受けた。
質問の主はリタ・ブラタスキ。目立つド派手な
赤いスーツで戦う姿に敬意と畏怖と皮肉を込めて
「戦場の雌犬」「基地外リタ電波スキ」と呼ばれる
人類最強の女戦士にして人類最後の切り札。
彼女とともに戦い、キリヤ・ケイジは
一体のギタイを道連れにして死んだ――はずだった。
目覚めるとそこは、一日前の朝。次の戦場でも、
次の次の戦場でも。死ぬたびに時のループは
その時間へと舞い戻る。
決して死なないのなら、経験を積み続けて最強の
戦士になってやる。キリヤ・ケイジはそう決意した。
158周のループを体験し、戦士として至高の極みに
到達した彼は、再び戦場の女神と再会する。
戦場の女神――リタ・ブラタスキは言った。
「おまえ、いま……何周めなんだ?」
良い作品である。間違いなく。
時間の巻き戻しを扱う以上、当然ながら
パラドックス的なツッコミ所はある。話は
王道的で、だいたい想像通りの展開をする。
しかし。それでも面白い。そんなことが
気にならないくらいにデキがよかった。
SF的な展開がダメでなければ、間違い
なく水準以上には楽しめるだろう。
さまざまな要素がからんでいるんだよな。
いろいろな読み方ができるというか。
終わりのないループを「こういう態度を
とれば、こういう展開のフラグが立つ」
と研究するさまはゲーム的で面白い。
甘い青春に背を向け、鬼教官に指導をあおぎ、
戦場を駆け抜けて、段々と冷静な一流兵士に
なっていく姿はストイックな青春ものである。
「同類」のリタ・ブラタスキと出会い、
彼女との心理的な距離を詰め、親しくなって
いく様子は「青春恋愛もの」として読める。
最後に行き着いたラスト。失ったものを想い、
百万の敵を相手にしても負けないと決意する
キラー・ケイジ。それは喪失と誓いの結末。
2日間の基地生活という限定空間を
行きつ戻りつ、さまざまな展開を
見せる万華鏡のような作品。
マンガ的な展開に耐性があるなら、
読んでみなさい。絶対に後悔しないから。
集英社 (2004/12)
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