その背中を追いかけて「一瞬の風になれ1 イチニツイテ/佐藤多佳子」
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[評価:★★★★★]
一瞬の風になれ。第4回本屋大賞受賞作。
高校の陸上部を舞台とした青春小説である。
主人公の神谷新二(カミヤ・シンジ)の
周りには二人の天才がいる。
ひとりは天才サッカープレイヤーの兄。
ひとりは天才スプリンターの親友・連。
天才の背中に憧れ。
その背中を追いかけ。
いつか追いつけると信じて。
サッカーの道をあきらめ、新たに陸上を
はじめた神谷新二が青春を突っ走る。
これはそんな物語である。
ああー。なんていうんだろう。
まさに風のように展開が早くて、
さわやかな物語である。
物語のテンポがいい。
各シーンがカッコよすぎる。
主人公のみずみずしい感受性がいい。
うーむ。褒め過ぎか。でも、
本当にすばらしいんだな。
この作者、不要なシーンを描かない。
長々と細かい描写をほとんど書かない。
陸上ものなのにレースなんて5行くらいだ。
景気よく月日が3ヶ月くらいポーンと飛ぶ。
それくらいの尺度で必要なシーンだけ
書くので、面白くて印象に残るシーンの
オンパレードになる。
冒頭からすごいのよ。
・陸上にやる気を失った連の復活
・インターハイ地区予選の開始
・インターハイ県予選への出場
と、たった100ページで
そこまで突っ走ってしまう。
はやい。はやいって。最近の小説の展開
速度だったら、連まだ復活してないって。
とにかく、印象に残るシーンをこれでもか、
これでもかと投げつけてくるので、読み手
としては次々にページをめくるしかない。
そして、それを語る文体がイイんだ。
主人公の視点で語る一人称なのだけど、
彼の見方がすごくいいんだな。
なんていうのかな。。。
陸上という新しいフィールドを体験して、
その都度、驚きや挑戦や喜びを口にする。
周囲の天才たちと自分を比べてガッカリ
しても、自分にもあるらしい一握の才能を
信じて、いつか。。。と奮闘する。
ヤンチャな口調なのだけど、そういった
おごらないポジティブさやガッツが
にじみ出ていて本当に心地よい。
読んでいていつの間にか応援したくなる。
がんばれ、神谷! ってね。
サッカーで挫折した彼は陸上で、
天才たちの駆けるフィールドに
たどり着くことができるのか。
今後が楽しみで楽しみで仕方ない。
<<関連エントリ>>
一瞬の風になれ2 ヨウイ
一瞬の風になれ3 ドン

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