本から飛び出す圧倒的な個性「山ん中の獅見朋成雄」
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[評価:★★☆☆☆]
なんともまあ。。。スゴい小説である。
他人に決してススめないし、別に面白いとも思わない。
ただスゴいのだ。圧倒的に。
作中に「モヒ寛」という書道家が出てくる。
彼の作品は
> つまりスタイルを云々する前に、モヒ寛が
> ビックリマーク付きでモヒ寛!と書面から
> 飛び出してきて見るものを圧倒してしまう
と表現されている。それにならって
評するなら、こうだ。
ビックリマーク付きで舞城王太郎!と本から
飛び出してきて読むものを圧倒してしまう。
背中に毛が生えていて、足が尋常じゃないほど
速い「獅見朋成雄(シミトモ・ナルオ)」。
彼はその野性的な外見にコンプレックスを抱いている。
馬は書道をやらないだろう。人間らしい趣味だ。と考えて、
近所のヘンタイ書道家「モヒ寛」に弟子入りする。
序盤はモヒ寛と成雄のベタベタしているような、
していないような、そんな不敵な友情が描かれる。
ああ。この路線で行くのかなーと思っていたら、
裏切るのだ。さっくりと裏切るのだ。舞城王太郎は。
突然、モヒ寛は山のなかで何者かに襲われ、瀕死の
状態で発見される。九死に一生を得たモヒ寛であるが、
成雄は犯人を許さず、山のなかを何日も捜索する。
ここら辺の展開も、ま、アリだと思う。モヒ寛のケガが
「鼻がもげ、片目が飛び出し、額から脳がこぼれそう」
という以外は。いや、死んでるって。それ。絶対に。
しばらくして捜索すると、怪しげな男3人を見つける。
成雄はそいつらの後を追い掛けて、山のなかにある
謎の集落にたどりつく。
そこから、いきなりファンタジーなんだよね。
もう、これはファンタジーだ。
成雄は人を殺しまくるわ、
それなのに、なぜか歓迎されてるわ、
人肉パーティで人の肉をためらいなく食うわ、
そこで働いて何年も暮らし始めるわ。
はああああああ!!!???
という感じの「アリエナイ」世界。
正常な人間の思考ではありえない、
すさまじくシュールな物語が広がる。
舞城王太郎は化け物か。
率直に言って、わたしはこの物語がどこに落ち着くのか。
まったくもって想像すらできなかった。
文学的といえば文学的なのかね。。。
成雄の「名前」や「背中のたてがみ」、墨をする音。
それらに関する彼の心情の変遷をたどれば、興味深い
解釈も成り立つのだろう。そういう意味では文学的かも。
舞城王太郎は異質な作家と呼ばれている。他の作品を
読むと、確かに文体に異様さがただよっているが、
そこまでの異常さを感じることはなかった。
しかし、この本は。。。
断言しよう。異常だ。
繰り返すが、別に面白いわけではない。ただ、
圧倒的な個性がそこから爆発している。そういう
意味では稀有な作品といえるだろう。
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