キュートで颯爽とした少女の話「夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦」
関連するタグ: 森見登美彦 夜は短し歩けよ乙女 小説 コメディちょっと奥手な京都の大学四年生の主人公。大学一年生の後輩に惚れてしまった彼が、何とか彼女の気を引こうと奮闘する物語。主人公の男の視点と、彼女の視点が交互に切り替わって描かれている。
ちょっと奥手なところが、モリミーワールドである。ストレートに想いを伝えられないがゆえに、遠回しな策略に走るヘンテコな主人公は健在である。
ただ、どっちかというと、今回は男のほうはどうでもよく、女のほうが主役である。冒頭の『これは私のお話ではなく、彼女のお話である。』という一文は伊達ではない。
何というか、この女の子がすごく堂々としているんだね。揺らぎがないというか。かといって、別に偉そうなわけではなく、清楚で礼儀正しく、ウブでニブいところがある。そのバランスというか配合が絶妙である。
本上まなみの推薦文『なんてチャーミングな女の子だと』という一文が適切。それらを表現するならチャーミング。そんなステキな少女の話。
とはいえ。。。なんかパンチが弱いんだよねー。少女は「かわゆい」のだけど、それだけじゃー、話を推し進めるのが弱い。同じ日常系を扱ったデビュー作『太陽の塔』はコメディ色の強さでそれを補ったが、今回は少女が主役であるため、その押しが弱く感じた。
ストーリー的な勢いに欠けるので、そこを評価するわたしには★3かな。ただ全体を貫く「あたたかくてかわいくて、ちょっと変」な雰囲気は実に独特で味わい深い。そういう雰囲気を楽しめるなら悪くない作品だろう。
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